
札幌市南区、藻岩山の麓に広がる住宅地。小さな川沿いの道を上った先に、竣工10年目を迎えたKさん宅が建っています。木々に抱かれた広い敷地は見晴らし良好で、野鳥のさえずりと川のせせらぎがBGM。こんなに素晴らしいロケーションに建てるべきはどんな家なのか。Kさんご夫妻は、自ら図面や模型を作成しながらプランを検討したそう。「最初は2階建ても考えましたが、土地の広さを生かせる平屋に決めました」。
そのうえで三五工務店の設計担当者に伝えた要望のひとつが「新築に見えない家」でした。内外観ともにピカピカの素材で包み込むのではなく、木材やコンクリートをむき出しにするデザインを採用。10年目の現在、各部に味わいが生まれ始めています。
このコンセプトの延長線上で、構造材を棚として生かすというアイデアも。L字型の広い玄関土間の壁2面を埋め尽くす収納は圧巻です。「これは最高ですね。外断熱にして、棚板をはめる溝を柱に入れてあるんです。棚板は用途で奥行きを変え、付けたり外したりもできます。工事は大変だったようですが、いいものをつくってもらいました」。
バッグや靴、食器などが見せる収納として収められており、また屋内全体が一体的な空間になっていることも相まって、まるでアトリエやショップと見紛うような雰囲気に。「意識したわけではないのですが、ドアや壁などを省いたら広々とした家になりました。自由度が高いので、これからも自分たちが使いたいように変わっていくと思います」。木材の経年変化とともに、空間自体も暮らしに合わせて変幻自在に味わいを増していくことでしょう。
Report by Replan








