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暮らしのレポート

2016.09.26

トレンドを超えて長く住みやすい空間を共創。 道産材に抱かれた眺望を楽しむ家

札幌市中央区・Kさん
1階のセンターには薪ストーブが鎮座。炉壁はKさんのアイディアで、レンガではなく周囲と馴染む明るいトーンの石をセレクト。左側のガラス戸の先には、まるで展望台のような大きなウッドデッキも

「50代を迎えた今、残りの人生を家族と思いきり楽しんで過ごしたくて、家づくりを決意しました。この辺りは街も近くて、山も近い。静かなのもいいですね」と、リビングの窓から市街地を見下ろすのは、札幌中心部でバッグ専門店を営むKさん。宮の森の高台にある土地を運よく入手した瞬間から、この絶景をどのように家の中に取り込むかを最優先で考えたといいます。そのためには1・2階ともに窓をふんだんに設けたいところですが、開口部と断熱性能はトレードオフの関係。家づくりのパートナーである三五工務店とともに、じっくりと理想のかたちを探っていったそうです。

同社といえば、構造材のカラマツをはじめ、床材のタモやナラなど、木目の美しい道産材をリーズナブルに用いるのも大きな特徴。Kさんは「生まれ育った北海道が大好きなので、やはり道産材を使って家を建てるのは嬉しいし、安心感がありますね」と、やさしい表情で室内を見渡します。

設計から施工まで、一貫して信頼を寄せることができたそうですが、なかでも設計担当者からの「住宅は時代の経過に耐えられるものを」というアドバイスには感激したそう。長年店舗づくりを手がけてきたKさんは、気づけばトレンド感のある建材やデザインを提案していたようで、「そんな私にしっかりブレーキをかけてくれました(笑)。数十年後も住みやすい家づくりという視点は、とても説得力がありますよね」。眼下に広がる絶景のみならず、まだまだ長い人生を望むことのできる「眺望の家」が完成しました。

Report by Replan
玄関スペースはドアを含めて杉板張りに。ガラス戸の奥に土間が見える
玄関とつながった土間はギャラリースペース。ご主人が経営する店の商品や、趣味のロングボードなどをディスプレイ。「店のお客さまを招いて、コーヒーでも飲みながらゆっくり商品を見てもらえるスペースになればいいなと思っています」
階段には黒いアイアンの手すりを付け、白を基調とした空間を引き締めている
リビングから見たダイニング・キッチン。眺望サイドには窓が連なり、道産カラマツの梁が空間のアクセントに
眺望のよい2階の角に設けた書斎スペース。2面に取った大きな窓からは、都市と自然が織りなすパノラマを存分に楽しめる。スリット床にすることで、真下に位置するダイニングの明るさもアップ
主寝室の天井は、構造材のカラマツを見せて暖かな雰囲気に仕上げている
キッチンの奥にはユーティリティスペースがあり、近い距離でほとんどの家事をこなすことができる
ダークグレーのガルバリウム鋼板でシックにまとめた外壁。玄関脇には冬のリビングを温める薪がスタンバイ