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暮らしのレポート

2020.09.29

建築主と設計者がともに絵を描き、理想を追求した片流れ屋根の家

札幌市中央区・Hさん
天井はカラマツ、床はナラなど、木をふんだんに使ったやさしい雰囲気のLDK。木の美しさを活かした家具は、三五工務店グループの「35design」が担当。ダイニングの奥には和室があり、その手前には念願の薪ストーブが

札幌市中央区の自然と隣り合う閑静な住宅地に建つ片流れ屋根の家。「子どもたちには緑がある場所で育ってほしいという気持ちがあり、この場所を選びました」とHさんは話します。土地が決まり、家づくりのパートナーを探すなか、三五工務店を見つけたのは奥さんでした。「木の温もりが感じられる空間が魅力的で、道産材を積極的に使うというコンセプトも、北海道で生まれ育った私たちにとって、とても共感できるポイントでした」。

ご夫妻が最初に設計担当者に伝えたのは、片流れ屋根、ロフト、吹き抜け、薪ストーブなどのキーワード。「想いを伝えると、その場で『こういう感じはどうですか?』と絵を描いてイメージを共有してくれるなど、いつも臨機応変に対応していただきました」と振り返ります。

逆にHさんが描いた絵を担当者に見せることも多かったそう。「そうすると想像を超えるかたちで返してくれて、とても嬉しかったです」。寝室奥の書斎も、そんなやりとりから生まれた、お気に入りの空間です。

また、片流れ屋根のイメージとして、太陽光をより多く採り込めるように南から北に下る屋根の絵を見せたところ、暑くなりすぎるので逆向きのほうがいいというアドバイスも。「1年ほど住んでみて、たしかにそのとおりだったと実感しています。家づくりという一生に一度の経験に自分たちも強く関わらせてもらいつつ、専門的な視点から適切に導いてくださったのは、本当にありがたかったですね」。大満足の仕上がりというお住まいで、ご家族4人の快適で豊かな暮らしが始まっています。

Report by Replan
ダイニングから見たリビング。グレーの塗り壁(写真右)の上部にあるのは造作したエアコンのカバー。階段まわりは吹き抜けになっていて、2階からも光が射し込む
リビングから見た玄関。窓からは近隣の緑が見える。造作のベンチは、お子さんに靴を履かせたり、荷物を置くのに便利
階段を上ったところにある書斎は、数脚の椅子が置けるゆとりの空間。「子どもたちがたくさん本を読めるように」という奥さんのご希望で、書棚もたっぷり。天井には子どもたちが楽しめる造作の雲梯も
主寝室の奥には、もうひとつの書斎が。こちらはHさんの仕事用。片流れ屋根の形状を活かした天井はレッドシダーの板張りで仕上げている
Hさんの書斎からキャットウォークを渡ってバルコニーへ。その手前は薪ストーブの煙突が通る吹き抜けになっている。2階に上がった暖気は、階段側の吹き抜けから下りて循環するため、薪ストーブだけで暖房機能は申し分ないという
Hさんと設計担当者がアイデアを出し合って決定した外観。組み込みのカーポートから奥に行くにつれて段々と広がる「雁行型」に、片流れ屋根と薪ストーブの煙突を組み合わせた美しいフォルム