35ストーリー 35STORY

暮らしのレポート

リビングから土間を通して森へと広がる住空間

リビングから土間を通して森へと広がる住空間

30代共働きOさんご夫婦の家づくりの始まりは、旦那さんが偶然見つけたフリーペーパー『35MAGAZINE』でした。
三五工務店がつくっているこの冊子を見て「うちの実家もこの工務店に建ててもらった」と奥さん。
当時高校生だった奥さんは実家を建てるとき、三五工務店との打ち合わせに何度か参加しており、設計スタッフと一緒に家をつくっていくのが楽しかったことを覚えていたそうです。
「それなら」ということで、夫婦でモデルハウスを見に行くことに。
自分たちの家づくりのこだわりを理解してもらえるだろうかと少し不安もあったそうですが、結果的に「設計スタッフの寺西さんと感性がぴったり合いました」とのこと。
同スタッフが設計したモデルハウス自体についても「光の入り方がかっこいい」と感じ、三五工務店で家を建てることに決まりました。

土間もリビングの延長、広々とした1つの空間

Oさんのお家の最大の特徴は、玄関も含めて一体になっている1階の広々とした空間です。
6畳の土間と21.5畳のリビング・ダイニング・キッチン。
洗面室や浴室を2階にすることで、生活の中心となる1階のスペースを可能な限り広くしています。

広い土間は旦那さんのご希望。
趣味のサーフボードやスノーボードを置いたり手入れしたりするのに十分すぎるほどの広さで、ロングボードを立てられるように一部は吹き抜けにしてあります。
リビングとの段差は低めで、土間はご家族にとってリビングの延長。
床暖房が入っていて土間も冷たくならないので、お子さんはリビングとの間を裸足で行き来して過ごしています。
リビング正面の土間には横に広い掃き出し窓があり、その先にはウッドデッキ。
室内からウッドデッキまでつながりを感じられるように、土間のモルタルは窓枠に少しかぶせて敷いてあり、ここは旦那さんにとって「寺西さんのこういう細かいところへのこだわりにテンションがあがりました」というマニアックなお気に入りポイントです。

奥さんは実家で三五工務店の家の暖かさを知っていたものの、「玄関から土間やリビングまで仕切りがなく、大きな窓がある造りだと、さすがに寒くないだろうか?」と少し不安もあったそうです。
しかし実際に住んでみたところ「真冬でもまったく問題ありませんでした」とのこと。
床暖が入っている土間だけではなく、三五工務店の住宅は全体を包み込むように気密性や断熱性を高めているので、家のどこにいても暖かく過ごせます。

余白を持たせたリビング、一体感があるキッチン

リビングといえば、テレビとソファを向かい合わせにした配置が定番。
しかしこの家では、お子さんが幼いとき、あるいは大きくなったときなど状況に合わせて空間を変えていけるよう、設計スタッフからの提案で「あえて固定せず、余白をもたせた」スタイルになっています。

今はソファなしで、必要なときにクッションを出す程度。
「子どもが走りまわれるし、おもちゃをいっぱい出しても大丈夫。
床が暖かいのでそのまま寝転がっても気になりません」と奥さん。
リビングとキッチンの間にソファがないことは、お子さんの安心にもつながっています。
「アパートで暮らしていた頃は、ソファなどが壁になってリビングからキッチンが見えず、私が料理をしていると子どもが不安になって泣いたりしていましたが、この家で暮らすようになってからそういうことはなくなりました。
いつでも共存しているというか、一緒に過ごせている感じがしてとても好きです」
自由度が高いからこそ、思いを巡らせたくなるリビング。
ご夫婦は「歳をとったらソファを置いてゆっくりするのもいいかもね」とずっと先のことまで話したりしているそうです。

リビングとつながるキッチンも開放的にしたのは奥さんのご希望。
「私は料理が好きなのですが、前のアパートではキッチンが狭くて思い通りにならず、調理も洗い物も広いところでしたいと思っていたんです」
必要なものは全部、カウンターやシンクと一体になった収納と背面のカップボードに収まっており、「造作で見た目も統一されているし、スッキリしていて気に入っています」とのこと。
キッチンのエリアは、ひとつながりになったリビングとさりげなく空間を分けるように、下り天井になっています。
旦那さんはこの下がり天井を木にすることをご希望だったものの、消防法でNG
通常はオフィスに使うような、ストライプ状の凹凸がある化粧石膏ボードという提案がはまり、旦那さんも満足の出来になりました。

1日を通して陰影が心地よい、絵になる家

「森の中に建てる家として、周囲の自然環境になじむように」という設計スタッフの考えのもと、窓の配置はランダムに。
“ランダム”といってももちろん無作為ではなく、それぞれの窓の役割を意識して丁寧に設計しています。
設計段階でご夫婦は「どこかの変更をオーダーしたら、そのたびに、無関係のはずの窓まで調整されている」ことに驚いたとのこと。
窓の位置や大きさは住み心地を大きく左右するため、設計の最終段階まで微調整がおこなわれました。

例えば、立地を活かした窓からの景色はこの家の魅力のひとつ。
キッチンの奥にあってリビング側からも見通せる窓は、額縁のように森を切り取る借景になっており、「この景色、いいですよね」と旦那さん。
奥さんは「リビングの床に寝転がっていると、階段の吹き抜け越しに月が見えるんです」と、ご夫婦それぞれのお気に入りを見つけたようです。

窓の役割としては採光や開放感のバランスも重要です。
リビング正面の一番大きな窓は、最大限に大きくするのではなく、開放感と落ち着き感の両面を考慮して高さを微調整。
また、階段の吹き抜けの反射を利用して西日がやわらかい光としてリビングに入り込むようにしているなど、日差しも細かくコントロールしています。

落ち着ける空間にするため、家中を均質に明るくせず、適度に陰影が出来るようにしているのも設計スタッフのこだわりです。
「どの時間でも部屋の中にいい感じに影ができるのが好き」と、旦那さん。
太陽が沈んでからも良い雰囲気になるよう、照明の配置も丁寧に。
例えば、吹き抜けの上部に設置されたライトで、夜でも昼間と同じように光がリビングへ降りてくるようにしてあります。
土間のダウンライトについては壁にも光が当たるように仕込んであるなど、ひとつひとつの演出が積み重なり、「夜の様子もぜひ見てほしい」とご夫婦が思うほどの、「夜もすごくいい」家になりました。

違う素材を違和感なくまとめた配色

木を多く使うことも旦那さんのご要望でした。
「家を建てるときは道産材じゃなきゃと思っていました。
せっかく建てるなら地元に貢献できた方が嬉しいので」

床や柱、2階の天井や造作家具など、いろいろなところに木が使われていますが、木の種類も色合いもすべて異なっています。
それでも室内に統一感が出るように、色の三要素といわれる「色相・彩度・明度」のうち2つを合うようにセレクト。
設計スタッフが仕上がりを見越して、木材自体の色に影響しにくいワックスまで指定しています。

色を合わせるのは木材以外も同じ。
特にオールホワイトにこだわった洗面室では、微妙に色が違う白のパネルを20枚ほど並べて、奥さんが「目がおかしくなりそう」と感じるほど、じっくりと決めていきました。
結果、「白一色だと賃貸の家のような無個性になるのでは」と懸念していた奥さんも納得の、まとまっていながら単調ではない洗面室が出来上がりました。

洗面室以外はグレーがテーマカラー。
この家を建てるきっかけになったモデルハウスの色が気に入って取り入れることになりました。
そのモデルハウスではグレーの「壁紙」だったのに対して、この家では1階の天井も含めてグレーの「塗り壁」に。
さらに「一般的な家だとアクセントとして強めの色を入れたり、タイルにして変化をつけたりするところをぐっとこらえて」、グレーに徹底的にこだわりました。
その中で旦那さんが気づいたのは「グレーな空間に白が合う」ということ。
「なにげない照明のスイッチやパネルヒーターの白さえもグレーの壁に映えて感動します」

ご家族の想いのもと、全員でつくりあげた家

2階には広いフリースペース。
後から壁をつくって部屋にすることが可能な造りで、設計時には、お子さんが大きくなったときに部屋にすることを想定していた場所。
しかし実際に住んでみると「思った以上にいい感じだった」とのことで、このまま使用することに決定しました。
スノーボードのシーズンになると旦那さんの友人が集まり「合宿所状態になる」そうで、そんなときはフリースペースが寝室代わりに。
もともと部屋にする予定で十分な広さを確保していたことは、嬉しい誤算でした。

フリースペースの横には吹き抜けがあるため、柵の間からお子さんが落ちないように対策が必要でした。
ネットを付けるのが一般的ですが、設計スタッフが「この家にいちばん合うのは……」と提案したのは、建て具にも使われているラワンパネル。
このパネルについて旦那さんは「木目が違うので、どちらの面をフリースペース側にするのが良いか気になっていたのですが、そのことを伝える前に、工事担当の伊地知さんがすでに検証してくれていて感動しました」とのこと。

工事中、旦那さんは週に何回も見に来ていたそうです。
「現場に椅子を置いてコーヒーを飲みながらずっと見ていたいほど、手仕事がかっこよかったです。
家づくり自体、『もう一回やりたい』と思うくらい、とにかく楽しかったですね」

『ここだけ時間が違う』と感じる

旦那さんの趣味がサーフィンやスノーボードということもあり、Oさんご夫婦は自分たちらしい暮らし方を優先して、街中の住宅街ではあえて土地探しをしなかったそうです。
最終的に見つけたのは、海も山も見えて、見晴らしが抜群の場所。
しかし、それ以上にご夫婦が気に入ったのは、森に囲まれた場所であることでした。
「窓から緑が見える家って良いと思ったんです」

夏にはリビングの大きな窓の先に深緑の森。
冬には一面の銀世界。
「初めて雪が積もったとき、めっちゃいいね」と感動したご夫婦。
「特に雪が降った朝には、自然にゆっくりと過ごしたくなるんです。
せかせかしたくない。ここだけ時間が違うと感じました」

森が目の前なので、ときどきリスやキツネやキジが庭へとやってきます。
そんなとき、お子さんも土間からぼーっと外を見て楽しそうに過ごしているそうです。

「もともと出歩くのが好き」という旦那さんも「この家なら外に出なくてもまったくストレスがないんです」とのこと。
どんな家で暮らすかで、気分は大きく変わります。
満ち足りた暮らしがここにあることは、奥さんの「1日いたらこの家の良さがわかります」という言葉に表れていました。