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暮らしのレポート

住み継ぐ家

【価値を育むリノベーション】
木の質感とビンテージが調和する趣味を楽しむマンションリノベ

【価値を育むリノベーション】木の質感とビンテージが調和する趣味を楽しむマンションリノベ

中古マンションに暮らして5年半。
10代から集めてきたビンテージコレクションが映える木の家に憧れ、一時は戸建ての新築を検討していたKさんご一家。
しかし土地探しや、パートナー選びの難航を機に気づいたのが、今暮らしているマンションの心地よさでした。
行き届いた管理体制、高い利便性、そして遠くの山並みを望む借景。
新築への憧れから一転、Kさんご一家は愛着あるマンションのリノベーションへとかじを切りました。
設計を担当した三五工務店の山本さんは、「既存の断熱性能が高く構造改修が不要だったため、意匠と機能の向上に特化。
木をふんだんに使い、趣味を心地よく内包する空間を目指しました」と語ります。
この家の要は、玄関から視線が真っすぐ抜ける先へと配された、セレクトショップのようなストックヤード。
既存の廊下を取り込み、壁と天井を合板でラフに仕上げた空間には、年代物のTシャツやトレーナー、アウター、厳選された小物などがディスプレイされています。
さらにストックヤードからLDKへとアクセスできる出入り口も新設し、機能的な回遊動線も生み出しました。
室内には遮音性に優れた無垢床を敷き詰め、折り上げ天井は合板でフラットに整えつつ、付梁でアクセントをプラス。
細部に施された造作家具が木の空間を引き立てるなど、マンションの利便性を享受しながら、戸建て住宅さながらの木の質感を叶えました。
リノベーションから約3年。住み慣れた場所でありながら、見違えるほど豊かになったわが家で、今も好みのインテリアを探す日々を楽しんでいるKさん。
「コレクションを受け入れる器が整ったことで、趣味がさらに楽しくなりました」と、笑顔で語ります。
時代を重ねてきた愛着のあるモノたちを包み込む木の住まい。
この家もまた、家族の手で、ゆっくりと美しいビンテージへと育っていくことでしょう。

掃除のしやすさを考慮してカウンターとボウルをフラットにした造作洗面台
建具を取り払い、ストックヤードとオープンにつなげた玄関ホール。子ども部屋など3つの個室群はストックヤードを挟んで配置されている

Point 1

10代から蒐集してきた貴重なビンテージコレクションは、Kさんご自身によって磨き上げてきた価値。それらをクローゼットの奥に隠すのではなく、廊下を取り込んで新設されたセレクトショップのようなストックヤードは、住まい手自身の偏愛やアイデンティティーがそのまま暮らしの風景となる「見せる収納」です。モノの価値を空間へと転換し、日々の暮らしに豊かな刺激を与えています。

Kさんのビンテージコレクションが並ぶストックヤード。「10代の頃に古着ブームが到来し、すっかりのめり込んでしまいました。今にはないデザインが好みです」と、その収集歴は30年近くに及ぶ

分電盤は玄関からの死角に設置。ビンテージ品に囲まれることで、分電盤そのものもコレクションの一部のように空間になじんでいる

Point 2

新築への建て替えを検討する中で、今暮らすマンションの利便性や景観といったポテンシャルに改めて気づいたKさんご一家。別の場所へ移り住むのではなく、これまでのわが家が持っていた価値を丁寧に見つめ直し、今のライフスタイルに合わせて空間をアップデートする選択をしました。今ある資産を生かしながら三五工務店の技術とともに理想の「木の家」を叶えるという、マンションリノベーションの最適解です。

既存のカウンターは、天板を塗装して子どもたちのワークスペースとして再活用
歳月を重ねたインテリアとともに、ほのかに照らされるリビング・ダイニング。昼間とはまた異なるドラマチックな表情を見せる

ストックヤードからキッチン側へとアクセスできる動線。背面収納は造作で、壁面はくすんだグリーンのタイル仕上げ。ウッドワンのキッチンには、手元が隠れる造作収納を全面に設置した

既存では和室だった奥のスペースも含めて広いリビングに。マンション用の遮音性のある無垢床と、合板でフラットに仕上げた付梁のある天井など木の質感が心地よい空間に。窓下の収納は既存の天板を室内の色味に合わせて塗装し、造作の扉を付け替えている

玄関ホールからリビングへとアクセスする出入り口。時計は昨年購入した60年代のアメリカ製のもの

■Data
札幌市中央区・Kさん宅/家族構成:夫婦40代・30代、子ども2人
構造規模/マンション(築20年)
リノベーション面積/101.00㎡(約30坪)
床/無垢フローリング、壁/クロス、天井/道産カラマツ針葉樹合板
工事期間/約3ヵ月

 

 

Replan北海道vol.153より