Sango Story
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三五工務店の想い、取り組み、いごこちのいい暮らしへのヒントを発信しています。
2018.10.23
【第1回 築10年】時の流れを柔らかに受け止めて 味わいを増す、道産材98%の家

住み継ぐ家

「いい家」とは? その答えは住まい手の数だけありますが、
「長く快適に暮らせる家」という部分は共通しているはず。
三五工務店でも創業以来、ご家族の暮らしに寄り添い、
ずっと住み継いでいただける家づくりを大切にしてきました。
では実際のところ、年月を積み重ねた家はどのように深化しているのか。
弊社自身の勉強も兼ねて、築10年以上のお住まいを訪ねます。

「第1回 築10年」
時の流れを柔らかに受け止めて
味わいを増す、道産材98%の家

札幌市北区・Aさん宅
探訪者:田中 裕基(代表取締役)
外壁をはじめ、2階のバルコニーやデッキまで、全面的に木材を使った外観が印象的

「住み継ぐ家」の第1回は、暮らしはじめてから10年目を迎えたAさん宅におじゃましました。三五工務店では200㎜断熱に初挑戦した家であり、道産材の使用率が98%という点においても、当時としてはかなり思いきった建て方をしています。

実は私が入社した年にモデルハウスとして建てられ、その後Aさんにご購入いただきました。モデルハウス時代に清掃などで何度も訪れたため、個人的にとても思い出深い家でもあります。Aさんとは「もう10年!?」と驚きあうとともに、「断熱のよさは、10年を通して常に感じてきました」という感想をいただきました。

100㎜断熱でもハイスペックだった当時、高気密・高断熱の家づくりを標榜していた弊社では、こちらでまず200㎜、その後は最終的に350㎜まで経験。そうして蓄積されたデータや施工技術の向上などにより、現在は標準で150㎜断熱を採用し、十分に快適な環境を生み出すことが可能となっています。
そのうえで三五工務店が次にめざすのは、北海道の素材をこれまで以上に活用し、お客様が暮らす家はもちろん、お客様が暮らす北海道という地域のサステナビリティ(持続可能性)にも貢献していくこと。床にシラカバ、天井にカラマツなど、ふんだんに道産材を用いたこの家は、その原点ともいえる1棟です。

カラマツを板張りした外壁は「いい感じの雰囲気になってきましたよね」とAさんがおっしゃるように、時が経つことでしか得られない色合いや質感に深化していました。木材の劣化を心配される方もいらっしゃいますが、メンテナンスをすれば他より長持ちする可能性の高い素材です。しかも、Aさん宅の外壁やウッドデッキは、10年間ノーメンテナンスでもほとんど問題が発生していませんでした。少しずつ味わいが増す過程を楽しめるのは、自然素材ならではの特権ともいえるでしょう。

流行を追いすぎず、確かな素材を使った普遍的なデザインで、ずっと住み継いでいける家を提案していきたい。今回の訪問は、その思いをあらためて強くする機会となりました。Aさん、ご協力ありがとうございました!

1階部分の外壁の様子。ダークグレーで塗装された板張りは、時を経て味わいのあるトーンに変化してきた
2階のウッドデッキにて、Aさんとともに木材の状況をチェック。10年目でもまだまだしっかりしていることが確認できた。今後しかるべきタイミングで再塗装などのメンテナンスを施し、末長く快適な暮らしをサポートしたい
「性能面だけではなく、木の温もりが感じられる空間がとても気に入ったので」と購入理由を教えてくれたAさん。リビング・ダイニングはそれを象徴するように、天井や床、家具に至るまで多彩な木材が使われている
リビング・ダイニングは、カラマツ材の天井と珪藻土の塗り壁で構成。自然素材を組み合わせ、時間帯によってさまざまに表情を変える飽きのこない空間に
リビングから見たダイニング・キッチンとロフト。道産材が多様なかたちで用いられているのがわかる
2階の床には、シラカバの無垢材を使用。カバのなかでも柔らかい素材ながら、傷はほとんど目立たず、一方で無垢にしか出せない、味わいのある経年変化が見られた

|| 完成当時(10年前)の様子