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家語 MODEL HOUSE STORY 提案型モデルハウス「N32W」

家語 MODEL HOUSE STORY 提案型モデルハウス「N32W」

家語 MODEL HOUSE STORY
設計室 寺西 健
工事部 小田桐 秀樹

色、素材、光を駆使し、コンパクトな敷地に
豊かな広がりをもたらす都市型住宅のかたち

色、素材、光などに関わる多様な試みによって、コンパクトさを感じさせない上質な住空間に仕上げた三五工務店の提案型モデルハウス「N32W」。
設計と工事を担当した2人に、コンセプトや設計・施工のポイント、今回のプロジェクトの振り返りや今後の展望について語ってもらいました。

ガルバリウム鋼板と道南スギという2種類の素材を、いくつかの直方体を組み合わせた形状に入り組んだかたちで張ることにより生まれた外観。シンプルさと複雑さが共存した美しさは、建物内部と呼応するコンセプト。ダイニング・キッチンで用いたものと同色のガルバリウム鋼板を使用

札幌市北区、地下鉄駅から徒歩圏にある閑静な住宅街に、ガルバリウム鋼板と道南スギ羽目板を複合的に組み合わせた外観が美しい「N32W」が完成しました。三五工務店では、新しい住まいのかたちや暮らし方をイメージしてもらうための提案型モデルハウスを展開しており、「N32W」はワンランク上の都市型戸建て住宅を具現化した1棟です。

都市型住宅のプレゼンテーションということで、コンパクトな敷地をセレクト。SNSなどで国内外の住宅写真を気軽に見比べることが可能になった昨今、その土俵でも見劣りせず、より感度の高い方にアピールする内外装を、限られた面積の中で実現する。それが今回の大きなテーマとなりました。

リビングと一続きになっているダイニング・キッチン。さまざまな方向から射し込む光がやわらかな陰影をつくり、落ち着いた雰囲気の空間に

木材のナチュラルなトーンと、壁のクロスやタイル、下がり天井のガルバリウム鋼板などのグレーという2つの色だけで統一したダイニング・キッチン

キッチンから見た1階の様子。タモ集成材を自然塗料で仕上げた階段の奥には、豊かな緑の景色を取り込む大きな開口を設けた

設計担当においてのチャレンジの一つは、インテリアの色味を最小限に抑えること。木材のナチュラルなトーンに加えるのはグレーのみという、ある意味、大胆な試みです。壁や天井のクロスをはじめ、リビングの壁に張った札幌軟石、そしてダイニング・キッチンの下がり天井に用いたガルバリウム鋼板まで、すべてがグレートーン。色味を統一することで、逆に素材の違いを際立たせています。

壁一面の札幌軟石が風情を感じさせるリビング。勝手口からはウッドデッキへ出られる

左:吹き抜けからやわらかな光が降り注ぐ階段スペース。床には道産のナラ無垢材を使用。ウッドデッキへは玄関とリビングからそれぞれアクセスできる 右:2階の洋室からフリースペースを見た様子。床の一部がルーバーとなっており、1階LDKに間接的な光を届けている

もう一つの試みは、反フラット。各部で天井の高さを変えるなど、あえて入り組んだ空間構成とし、そこに自然光が直接的・間接的にさまざまな方向から射し込んでくるように吹き抜けや開口を計算。均一に明るいだけではない、時間帯によって変化する陰影を楽しめる空間は、まるで自然の中にいるような広がりをもたらすとともに、しっとりとした高級感を醸し出しています。

設計担当と工事担当は緊密に連携。空間が相対的に広く感じられるよう、建具の枠をできるだけ細くするなど、各部の収まりをすっきりと見せることにこだわっています。こうして誕生した、三五工務店が考える新しい都市型住宅のかたち。コンパクトな延床面積を感じさせない多彩な「広がり」が、都市で暮らすご家族にいっそう快適な住み心地をもたらします。

書斎を兼ねた寝室。夫婦で同時に作業できるよう、幅の広いカウンターを造作した

Report by Replan